バブル・バージ 佐高信 東洋経済新報社
何時もながらの著者の舌鋒鋭い、社会批判で政界、財界の腐敗、不正をつく明快さはなかなか胸のすくおもいがする。ただ、書き下ろしと言う訳ではなく、この１年程の著者の発表したものの寄せ集めであり、それ程目新しさはないが、談合体質になれて不正を暴くこともない大半のマスコミの生温い論調になれている身には、これだけ遠慮なしに実名をあげての批判、批評は確かに斬新だ。まあ、確かに著者のこの八方破れ的な言論のお陰で、大蔵省や銀行、證券の不正も大分正されたと言う面もあると思う。ペンは剣より強しと言う事はあると思う。そうなると、新聞にせよ、その辺の三流評論家にせよ、自分達が反撃で傷つく事も恐れず、社会悪を糾弾すると言う位の命をかけた言論と言うのをやって欲しいと思うのだが。日本のサラリーマン社会の構造に不正を起こさせる原因があると言う指摘には、自分もその瀬戸際に立っていると言う意味で厳粛な思いがする。会社の為と言う呪文で不正な事に手を染めてしまう危険性は、本当に恐ろしいものだと思う。