超陰謀６０の真実 ジョナサン・バンキン 徳間書店
人類は月面には到達していない、あの月面歩行はＮＡＳＡの陰謀でラスベガスのスタジオで撮ったものだとか、アメリカ政府がエイリアンの遺体を隠しているとかまあ、良くも此処まで馬鹿げた話を冗談ならともかく、大まじめに言っている人間がいて、それを又面白おかしく取り上げる、うらんかなのマスコミがいるアメリカの陰謀好きには日頃苦々しさを感じていたが、本書はそんな馬鹿馬鹿しい話を、６０も集めて最もらしい事を言っているのは正にお笑いぐさ。但し、賢いのはそう言う中には、いかにもこれはインチキですよと言う事を、著者自身が述べている例もあり、それが残ったものはいかにも本当ですと言うような効果を狙っている、インチキさがある。宗教と言うのはどだいからしたら、全く非科学的な、ぼけ話なのだが、それを今でも金科玉条に思っているとどうしても、現代科学で解明された事実と齟齬をきたしてしまう。その齟齬をむりやりつじつまを合わせようとすると、この種の陰謀説になってしまうのだと思う。衆愚の時代とは言うが、アメリカはその衆愚の最たるところではないだろうか。もっともナチのホローコーストにしても、このような謀略、妄想説が根になっている訳だし、ケネディーの暗殺謀略説のばかばかしさは兎も角、ケネディーが暗殺された事は事実な訳だから、こういう謀略説を一笑に付してばかりはいられないのかもしれない。近いところではフーバーが歴代大統領や政府要人の電話を盗聴して、その盗聴内容を脅しに使っていたと言う事は事実であり、実際こういうパラノイアが社会を動かしたと言う事実もあるのだから。