ラスベガスの挑戦 井崎良治編著 朝日ソノラマ
都市の成り立ちには様々な要因と歴史があるが、アミューズメント産業の発展により、殆ど無人の地から１００万都市へと発展したという、極めてかわった成立の歴史を持つのは、デズニーワールドを持つフロリダ州のオーランドとネバタ州のラスベガスがあげられる。特に、ラスベガスは近年、ギャンブルの街と言うイメージから脱却して、街全体がテーマパーク化しており、家族単位で楽しめる街へと変貌している。本書はそのラスベガスを都市発展の過程でとらえ、何故ラスベガスが現在でも発展を続ける、都市形成の成功例となっているのかを、多面的な角度から特に経済的な面から詳細に分析している。巨大カジノホテルがどのような、マーケティング戦略でお互いに熾烈な競争をしているのか、又、巨大な資本を持たない中規模、或いは小規模なカジノホテル郡はどの様な戦略で生き残りをかけているのか、正に実践ものビジネス書としても面白い。ラスベガスには現在、膨大な雇用機会を求めて多くの若い世代が移入して来ていると同時に、老後の年金生活を優雅にいとなむ世代の移入も多いと言う。アミューズメントが正に一大産業として、経済を大きく動かし、社会の組成をも変えていく様子が、これまた詳しくのべられている。ネバタ州では州税がないこと、物価が安いことなどにより、最近はハイテク産業の進出も多いとか。民活が言われていながら、なかなか進まず、又内需が盛り上がらない為に景気の低迷している日本にとって、ラスベガスを研究することが、何かの参考になる様な気がする。