日本は日本のやり方で行け！　ビル・トッテン　　ＰＨＰ　　　

何をやっても駄目な日本経済、何でも上手く行っている世界最強経済のアメリカという見方が支配的で、それを言われた日本人が、その通りかもと自信喪失に陥っている中で、日本在住２５年とは言うものの、アメリカ人である著者が、アメリカの経済は成功なんかしていない、日本はまだまだ大丈夫という理論を展開しているとなると、拍手喝采を送りたくなるところもある。ただ、かつて「ジャパン　アズ　ナンバーワン」等の、「日本は凄い」式の著作に対して、そうだそうだと大いに気を良くした時程に、浮かれた気分になれないのは、やはり相当にこちらも自信喪失しているからかもしれない。米国の経済が絶好調とは言え、一般の労働者の生活は苦しくなっており、経済好調の恩恵を受けているのはほんの一握りだと言った事実を丁寧に数字をあげて説明しているが、これ等は結構知られている話なのだが、何故か日本のマスコミは無視してしまう話だ。ビッグバンをやれば、日本は良くなると言うのもウソで、良くなるのは外国の巨大資本にとってのみだという指摘等、刺激的な内容で、どきりとさせられる。日本は強力な基盤を持っているのだから、アメリカに迎合してグローバル化をはかるなどせず、寧ろ経済鎖国をした方が良いと言う説等、日頃、アメリカにやられっぱなしにフラストレーションの溜まっている人には、多少のストレス解消の役には立ちそうだ。

（発行９８年５月）