民主主義汚染 宇留嶋芳郎 長崎出版 98/06/28
市川房枝、中山千夏等の選挙運動から名前を売り出し、市民グループ「草の根」を結成し実質そのグループを牛耳っていた市民運動家が、仲間３人と市議選に立候補したが、他の２人の女性候補は上位当選したものの、本人は次点になってしまった。そこで、彼は何をしたかと言うと、当選した仲間の一人を、市外に転出届を出させ、当選辞退をさせ自分の繰り上げ当選を策した。前代未聞の事態に、選管は混乱しこの繰り上げ当選を認めてしまう。怒ったのは市民である。それから延々とした裁判闘争がはじまる。その内にもう一人のこの仲間の市議（当選辞退した候補の母親）が万引き事件を起こして逮捕されると言う事件がおこる。「草の根」のボスは自分の市議の椅子、あるいは「草の根」の組織防衛の為に、万引き事件はでっち上げであり、創価学会や警察の陰謀だとのキャンペーンをはる。折からの新進党追撃に格好とみた、自民党はこのキャンペーンに乗る。万引きはでっち上げだと偽装する為に作った、虚偽のアリバイ工作は次々と破綻し、ついに嘘をつきとおす事に疲れた女性市議は自殺、しかし今度は「草の根」はこれは殺人事件だと主張。マスコミはこの興味本位に無批判にこの話に乗る。さあ、果たして、当選無効の裁判はどう決着したか、又、殺人疑惑はどうなったか。興味津々息もつかずに読み進むことになる。波瀾万丈の物語であるが、しかし、この話しはフィクションではない。全て実話であり、９５年以来東村山市で起こったことだ。著者は、火の粉が自分達にふりかかる迄は、他人事の様な態度をとり続けていた、創価学会や、その他の政党に対しても批判的だ。しかし、市民派の仮面をかぶったこの手の政治屋と言うのは、考えてみると最近結構多くないだろうか。どうも、草の根とか市民グループと称する連中や、福祉、福祉と叫ぶタレント議員にはその手のインチキっぽいのが結構いる様な気がする。そう言えば、最大野党の代表となった某氏も、市川房枝のグループから出て来た人物だなとふっと考えてしまったが、まあ偶然だろう。（９８年３月発行）