取締役革命　　　　　佐久間陽一郎編著　　　　　ダイヤモンド社　　　　

日本の終身雇用システムは、経済のグローバル化が進み、又、右肩上がりの成長が期待できない時代になり最早、維持して行くことは困難になっている。一方欧米型の業績評価システム、それに伴う幹部登用システムを、日本に導入することへの警戒感は根強い。なぜなら、それは終身雇用システムは人間的であり、欧米型の定量的なシステムは非人間的であるという誤解に基づくからだと本書は訴えている。人間の能力は計れない、しかし、仕事の量は計れるという考えが、このヘイシステムと言われる業績評価システムの根本にある。その人の仕事とその達成目標を定量化して設定し、評価はその定量化された目標の何パーセントを達成したかを計るという方式で考課をおこなって行くことの方が、はるかに人間性尊重につながると言う。日本の終身雇用の中では、仕事の量、あるいは達成度に関係なく業績の評価が行われており、これこそ非人間的なシステムであるとする。当社の構造改善計画で上げられている執行役員制度等を円滑に進めるためには、参考になるだろう。

（９８年５月発行）