年金制度の改善プラン 木原俊夫 中央経済社
年金制度に対する信頼感、言って見れば老後に対する不安感の払拭こそが、社会安定、経済の活性化の為の根本にあると言っても良く、現在の日本の経済の低迷も年金制度に対する信頼感の不足から来ているところも多いのではないだろうか。それでは、一体、年金制度のどこに問題がありそれをどの様に改革して行くべきかとなると、論議はかなり喧しいものの、系統立てて年金問題の問題点を解説した資料はそんなに多くはない。本書は住友生命に勤務する著者が、公的および私的年金について細かくその概要を解説したもので、便利なマニュアルと言って良いだろう。内容は三部に別れており、第一部「年金制度の仕組みとと課題」第二部「年金税制の現状と課題」第三部「年金マーケットの現状と将来」となっている。自分の老後の生活は基本的には「基礎的公的年金部分」「企業の退職給付」と「自助」によるべきであるという著者の指摘には賛同出来る。年金制度を国民が安心して信頼出来るように改革する為には、税制を始めとして改革すべき点が多いが、先ず何よりも、国民の意識の中にもう一度「自助」が一番大切であると言う意識改革が、最も必要なのではないかと思う。（98年３月発行）