２０２５年の世界と日本 宮川公男 東洋経済新報社
財団法人統計研究会がその創立５０周年記念行事として、２０２５年の経済社会を予測するアンケート調査を実施した。未来社会のより正確な予測がアンケートによって得られるということもないだろうが、人の予測を聞いてみるというのはそれなりに面白いかもしれない。本書はそのアンケート調査をもとに各項目毎に、数人の執筆者が、２０２５年の社会の為に、今持つべきビジョンの提言をおこなったものである。但し２０２５年の予測というのは未来でありながら、５０年後の予測とは違い、かなり近未来予測の要素を含んでいるだけに、各執筆者の見解も、それ程飛躍したものではなく、割と常識的な線でまとまっている。例えば、今の時点で２０２５年にはアメリカは依然として世界一の大国であるかどうかと問われれば、８５％の人がＹｅｓと答えるのは、全く常識的だし、このアンケート結果から話を広げようとしてもなかなか難しかろう。この様な形で本書の目論見は大筋において失敗しているように思える。（９８年８月 発行）