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老人力 赤瀬川原平
築摩書房
建設的楽観主義というのか、前向きの姿勢というのか「ぼけて忘れっぽくなった」と言わず「老人力がついた」と考えようではないかという著者の主張が、最近、ブームを読んでいるとか。人は皆、老いていくのだから、確かに老いを否定的、悲観的に考えないで、前向きに「これからぐんぐんと老人力がついてくる」と考えれば、人生観も大分変わるし、ひょっとしたら年をとるのが楽しみ（？）になってくるかも。南伸坊氏やらの、お仲間の座興からでたこの｢老人力｣についての著者の、ユーモアたっぷりの解説には、確かににやりとさせられる。これからの高齢化社会ともなれば、６５歳以上の人口、即ち老人力のついた人たちが、人口の1/4とかの比率を示すことになるわけだし，中々洒落た考え方だと言える。かなりのベストセラーになっているとのことだが、軽い読み物として山口瞳と東海林さだおを混ぜたような文体で、読みやすかった。
（９８年９月発行）