ＥＲＰ経営革命和田英男・坂和麿ダイヤモンド

次世代のビジネスフロンティアはサイバーフロンティアであり、そのサイバーフロンティア開拓と開拓以降の運営のツールはＩＴ（インフォメーション・テクノロジー）であるといわれる。即ち、２０世紀のビジネスのフロンティア開拓が、人、物、金というツールであったものが、21世紀には、それらの人、物、金、等の要素を総合した情報（インフォメーション）になるということなのだ。このITというツールの中は、又、様々に小分けあるいは、輻輳するコンセプトがある。それはEDIであり、SCM（サプライチェーン・マネージメント）であるが、本書の解説するところのＥＲＰ（エンタープライズ・リソーシズ・プラニング）もその重要な要素である。ERPは情報処理のツールという考え方でとらえるべきではない。ERPは経営革新と業務改革によって、経営、ビジネスを標準化して行こうとするものだ。もともと、ヨーロッパにおいて多国籍にまたがる企業の統一的経営のために考えられたシステムである。このERPの概念から、導入への手順、導入例等を解説したものが本書であるが、三菱商事のERP導入例などは、極めて参考になる。ERP導入のメリットとしては①統合化の推進②計画重視のマネージメントの実現③標準化によるグローバル対応④最新ITの活用、が上げられている。次世代ビジネスフロンティアに挑戦するためには、必須のツールであるというアジテーションもあながち無視できないのではないかと感じた。

（発行９８年11月）