ＩＴマネージメント半田純一・綿谷洋東洋経済新報社

目ざましい情報技術の発達によって社会生活のあらゆる局面に大きな変革が起きている。しかし、ややもするとこの情報技術の発達は、ハードの面での技術論に傾きがちで、社会生活の利便性追及の為にはどのようにこれらの技術を活用するのかという、いわゆるソフト面における探求は遅れがちである。企業経営においても、今まではＩＴすなわち情報技術は情報システム部門によるハード面での取り扱いという側面が強かったが、これからのビジネスは経営陣自らがこのITをいかに駆使していくかを最重要の経営課題として取り上げること、又、そのIT導入の成功度合いこそが、企業経営の勝敗がかかっているといっても過言ではない。本書はITコンサルティング会社に属する著者が、経営陣に対するIT入門書として記したものであって、簡潔にITとその周辺をとりまく、ITコンセプトにもとづく新ビジネスプラットホームの解説になっている。

CIO（情報担当役員）の役割などを含めて、ITを全社的経営課題として取組むための手引きから、SCM，ERPの具体的推進方法にまで言及されており、又、プレゼンテーションの際に使ったと思われる豊富な図表によって、ITのイメージが捉え易い。

我々の日常生活が、例えばインターネットの普及によって数年前と大きく変わって来ているのと同じに、企業経営、ビジネスも既に大きくそのプラットフォームが変わっており、日々大きな変革が起きている。正に今ITに如何に取組むか、又それに如何に順応していくかが、各企業に問われているといえるだろう。

（９９年６月発行）