明日を支配するもの P.F.ドラッカー ダイヤモンド社
ドラッカーは1909年生まれだから本年90歳になるが、その著述を含む活躍には全く衰えが感じられない。本書は日本語タイトルではわかりにくいが、原題は’Management Challenges for the 21st century’であり、90歳の老学者が意気軒昂に次の世紀における経営の在り方、哲学を説いたものだ。その、時代性と将来を見る目の確かさに驚かされる。ドラッカーは1950年代からすでに、日本でもその現代的経営思想の流布者として知られており、69年の「断絶の時代」のように、当時の経営思想の教科書となったものも多いが、本著もその系譜をはなれていない。IT化していく、ビジネスにどのように対処していくべきなのかといった、細かな指南から、少子高齢化の未来社会における人々の生活がどのような変化を来たらすか、あるいは知的労働者と組織の関係は如何にあるべきかといった社会論に至る未来学は傾聴に値する。好著であるだけに、ドラッカーを長年訳し続けてきたというこの訳者の特に前半部分のこなれない英訳が残念ではある。
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年3月発行.)