やっぱり韓国が死んでも日本に追いつけない１８の理由百瀬格文芸春秋

百瀬さんの前著は、その挑戦的な表題とは趣の違う、愛韓派商社マンの韓国応援歌といった内容で日韓両国でのベストセラーとなった。それは３０年近くにおよぶ韓国駐在経験をもつ日本人商社マンという極めてユニークな日本人の体験談としても、斬新な読み物であった。本書はその続編にあたるものだが、前作同様に定年を迎えた商社マンの会社生活に対する回顧録であり、又、韓国を愛するが故の苦言であり応援歌だ。日本人の韓国論は、奥歯に物の挟まったような本音を隠したものであったり、逆に愛想も尽きたといわんばかりの感情的な反韓論であったりして、中々、本音で韓国を論評したものにはお目にかかれなかったが、百瀬さんの著書は、感情論に没することなく自らの体験、感覚で綴ったものだけに、極めて新鮮である。この中に述べられている韓国論、韓国応援歌は前著以上に著者の韓国に対する愛情にあふれたものであり、それこそ、日本人も韓国人も中々言わない本音を、愛情をもって突いたものでその勇気は尊敬に値する。３０年近くの韓国滞在生活という実績の裏づけがあるからこそ、日本と韓国の微妙な関係にも拘わらず、韓国と韓国人に対する「歯に衣着せぬ」発言を堂々と出来る希有な存在になった著者が当社の大先輩である事は実に嬉しい。

IMF体制のもとで経済再生に挑戦中の韓国だが、財閥の解体などは予定されている程には進んでおらず、労働組合はストに血眼になっているために、国際的な信用の回復も今一つだ。それはややもすると全体のことを見ないで、どうしても自己の利益優先になってしまう韓国人の国民性の所為であるといった指摘などが、著者らしい韓国に対する愛情から出ていることが良くわかるだけに、本書もまた韓国でも爆発的に売れ行きを示していることが良く理解できる。

（99年6月発行）