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ユーロは世界を変える                 相沢幸悦            平凡社新書



遂に99年1月に11ヶ国が参加してユーロが発足した。御祝儀相場が一段落して以降のユーロは下落が続きその先行きに暗雲が漂っているかの見方もある。しかし、本書ではユーローの先行きについては不透明な部分もあるものの、単一基軸通貨であるドルが、米国の経常収支の大幅赤字の累積と、バブルを招く高金利によって維持され、何れ世界経済の破綻を招く可能性が危惧される中で、第二基軸通貨としてのその価値が増して来ることを指摘している。ユーロの発足に至る歴史的経緯から、発足のスケジュール、ユーロ三ヶ国の政治的な意図などから始まり、ドル、ユーロ、円の今後の展望まで、網羅的に解説した力作である。日産とルノーの提携なども、正にユーロという強い通貨の誕生が日本経済に与えた影響の一つであるが、本書では、ユーロ誕生が今後の世界の経済のみならず、アジア、日本の経済にどのような影響を与えるかに紙数を割いている点も、ユーロ解説の他書に比べて優れたところであろう。



（99年5月発行）