ECビジネス最前線前川徹アスペクト

ECビジネスの先端を行く米国では、例えばオンラインショッピングでは取り扱われない商品はないといっても良い。又、その伸びが実に急激である。現時点でも、例えばアマゾン・ドット・コムの書籍取り扱い量は、日本最大の書籍オンラインショップである紀伊国屋の100倍である。

このことによって、将来予測としては、全く相反する二つの仮定が成り立ち得る。一つは、日本のECビジネスも、急激に米国並の伸びを示し、流通市場を席捲するであろうというものであり、もう一つは、これだけ日本が米国より遅れているのは、日本の市場がEコマースを、受け入れる素地に乏しいのではないかという考えだ。

前者の仮定が優勢で、正にE-コマースに乗り遅れれば、日本の企業の明日はないという論調が強い。

しかし、後者があながち、大外れともいい切れない面もある、もし後者が正しいとすると、E-コマースの日本での拡大という夢は急激にしぼんでしまう。

本書は、この何れが日本の将来像であるかといった言及を行っている訳ではないが、最新の米国に於けるECビジネスの実体を、細かく網羅し、又、ECビジネスの中で、その成功の秘訣はどのようなものであると、考えられているかを提示し、その判断を読者にゆだねている。

著者は通産省からジェトロに出向し、米国で今年までこれらのECビジネスの最前線に触れて来たという。

恐らく、来年後半には、本書に書かれている情報も、陳腐化してしまうのだろうが、今のところ極めてフレッシュな情報が多く、ECビジネスにどう取組んで行くかを考える為に、良い参考となる。

（99年11月発行）