予測ビジネスで儲ける人びと W.シャーデンダイヤモンド社

遠い将来でもない、せいぜい半日先の天気予報でさえ大きくはずれする例は、実際に良く経験するところで、天気予報というものを信頼すべきなのかという疑念を持つことはある。

しかし、例えばテレビ番組において天気予報は欠く事のできないものであり、どの局もかなりの比率の時間を配分している。

「降水確率５０％」という表現は「雨が降るか、降らないかでしょう」と言っているのと同じで予測としては何の意味もなさない。

当たらない予報なら星占いとどれほどの違いもないともいえるが、マスメディアにおいては、天気予報はまさにビッグビジネスだ。

このように、当たらない、しかも役に立たない予測というもので成り立っているビッグビジネスは実に多い。

本書はこのように、間違いだらけで、極論すればシャーマンの占いにちかい予測ビジネスの実体を、一刀両断に検証したものである。予測ビジネスを７つの分野に分類して語られているが、その７つの分野とは「天気予報」「経済、景気」「株価」「人口」「技術」「社会トレンド」「経営」である。そしてその結論は「すべての予測は予測はずれに終る」という衝撃的なものだ。

経済予測にしても、一年先の経済成長率さえ、当てることはまず不可能という経験を我々は繰り返しているが、それでも懲りずに、予測に熱中しつづけ、又、その予測に基づいて計画を作成するという二重三重の過ちを繰り返している。

本書のユニークなところは、予測というものが、何故これほどまでにはずれ続けるのかについての、複雑系理論に基づいて科学的に解明しようとしている点である。

又、これだけはずれ、又無意味な予測に人びとがなぜすがろうとするのかを、心理学的に分析した解説も明解だ。

（99年5月発行）