郵便局が見る見るわかる松原聡サンマーク出版

行財政改革熱にはひところの勢いがない。しかし、次世代に我々の世代の膨大なツケを先送りすることは許されない。

それだけに行財政改革は、どうしても日本として進めなければいけない事柄である。

その根本をなす幾つかの要素の中で郵政３事業の民営化の問題があるが、行革会議の案が出ても、郵政一族と、まあ出て来るは出て来るはの、既得権者達の、あの手この手の反対論で、完全に風前の灯火とも言える状態になっている。

一時、郵貯民営化で名を売った小泉純一郎氏も最近は、この問題にとんと触れなくなってしまったのは淋しい限りでだ。

民営化反対論が言い募るほとんどの事柄は、国民の無知を良い事にしたまやかしの、論法である。

民営化すれば過疎地では郵便が配達されなくなるといった、恐怖心を煽るような話しが多いが、実はこれらは、全て詐欺的な詭弁である事は、識者ならば知っている。

本書は郵貯の民営化反対論の詭弁を暴き、民営化の利点を丹念に解説したものだ。

民営化が進む事によって、郵政に携わる人間も、国民も、経済界もひいては日本国全体が、大いに潤うのだと言う説明が、見事になされている。

無知な民衆を騙す、郵政一家の論法に打ち勝つ為に、我々は広くこの本にあるような、郵政３事業の民営化の必要性の基礎知識を知るべきだろう。

ちなみに、もし郵政事業を民営化するとしたらその事業の株式時価総額は65兆円に及ぶとの試算もある。郵貯の民営化による収入で国家財政が、どれほど助かることだろうか。

(97年10月発行)