新しい日米関係　　　　　　田久保忠衛　　　　　PHP新書　　

世界中のどの「普通の国」でも当然持っており、そして持っている以上は行使する権利も有している「集団的自衛権」は、日本の憲法解釈からは「もっているけれど行使できない」権利だという人達がいる。

自国の価値観にもとづいた歴史教科書を作ることは、「日本の軍国主義化」を進めるものだと主張する人がいる。外国がそのように言うのならば無視することもできるだろうが、問題なのはそういった意見を、声高に主張する日本人がいることだ。

占領軍は日本統治の当初から「日本を弱くしておく」という明確な方針を持っていた。その米国の対日政策が今も尾を引いており、それが対外的にも体内的にもこのように日本を骨抜きされた「矜持のない国」にしている。

しかし、最近の動きとしては例えば、ブッシュ政権の中枢に「強い日本」に理解を示し、新しい双務性にもとづく日米関係に理解を示すメンバーが多いなど、変化の兆しも見えてきている。

又、日本国内にも健全なナショナリズムに発し、少なくとも日本を「米国の非保護国」的立場から、「普通の国」へ立てなおそうとする動きも出てきている。

「ウィークジャパン」と「ストロングジャパン」というキーワードで戦後の日米関係を読み解き、又、日本の根本的な外交姿勢を正す本書のこころみは、占領軍からあたえられた、押し付けられたのではない、「日本独自の言論」が健全に芽吹き始めていることを示しているといえるのではないだろうか。

（01年5月発行）