ベストセラーとなったゴールドラッドの「ザ・ゴール」は、生産管理手法であるTOC理論を小説仕立てで解説していくという、斬新な手法で成功したが、本書も再建を専門にするコンサルタントである著者が、太陽産業という一部上場企業の再建の過程を小説仕立てにしたもので、企業再建という一般に馴染みの薄い素材を展開させながら、企業コンサルティングの手法を解説していくという面白い企画になっている。
太陽産業は、一般の不振企業にありがちな問題のオンパレードである。業績不振にもかかわらず、役員たちに危機感がない。そこで、社長はまず役員人事に大鉈をふるうことからはじめてーーーという展開で始まる。
ストーリーの展開とともに、「企業改革を進めるための８つのステップ」、「不振事業に見られる５０の症状」「改革を成功へ導くための５０の要諦」などが示され、読者もこの企業再建に加わっているような気分にさせられる。
「太陽産業」はこの物語では改革に成功し、8年ぶりの年間黒字決算を達成するのだが、実在の企業も本書から学ぶものは多いと思われる。
（01年9月発行）