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ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則 J.C.コリンズ 日経BP
ベストセラーとなった前著「ビジョナリーカンパニー」は、50年以上に亘って好業績を維持するばかりではなく、その存在意義においても社会的に尊敬される偉大な企業18社を、6年間に亘って調査し、それらの企業が何ゆえに偉大な企業といえるのかをレポートしたものであった。
いずれの企業も、その企業自身が「生きがい」ともいえる確固とした理念を持ちつづけていたこと、一種カルト集団的ともいえる強烈なリーダーシップと、自己組織規律を持っていることなどが明らかにされた。
しかし、この前著について「ビジョナリーカンパニーは良い本だが役にたたない」という意見があったという。すなわち前著「ビジョナリーカンパニー」に取り上げられた18社は、最初から偉大な企業であったところばかりであり、偉大な会社に飛躍するには何が必要かという疑問に答えていないとの不満があったことが、「ビジョナリーカンパニー」の続編である本書を著すことになった切っ掛けであるという。
従って、本書では「良い会社」から「偉大な会社」への変身をした全米フォーチュン500社をの中から選ばれた11社のその飛躍がいかにしておこなわれたかを膨大な資料をもとに調査したものである。
取り上げられた企業は、アボット、サーキットシティー、ウォルグリーン、ウェルズファーゴなどであるが、これらの企業の飛躍前にほぼ同規模、あるいは上位に位置しながら飛躍のチャンスを逃した同業他社との対比を軸に、「偉大な企業」への飛躍へのキーに共通するのは何かを浮かび上がらせている。
それらの飛躍した企業に共通するのは、個人的には控え目であるが意思の強い「第五レベル」のリーダーが登場し、人材を選び、戦略を単純化して針鼠的に戦略を一点に集約しているという点である。
これは、世間一般に言われる、カリスマ的なリーダーによる変革によって企業が飛躍するという俗説とは相反するものであり、意外感がある。
即ち、自分達の得意分野に資源を集中すべしという「本業回帰」あるいは「総合性よりも専門性」といったキーが、結局は企業にとって大切であると語っている点、あるいは強烈なリーダーよりも、控え目だが意思の強いリーダーが必要だといっている点などを考えると、米国の経営学というのも、時代とともに移ろいやすいものだなと思う。
（01年12月発行）