借りたカネは返すな！ 加治将一・八木宏之 アスキー
カネの貸し借りも一つの商行為である。貸す側もそれによって最大限の利益を得ようとするし、借りる側もその商行為によってメリットがあるからこそカネを借りるのだろう。しかし、実際の金銭の貸借は純粋なる商行為としてよりも、モラルの問題を前面に打ち出して語られることが多い。
特に、貸す側は、借りた側に対して「借りた金は返す」というモラルに訴え、ありとあらゆる手段を使って借金の取り立てを行なう。借りる側は一方的に押し捲られ、自宅を競売にされ、あるいは自己破産を余儀なくされるという例も枚挙に暇がない。
本書は債権整理のプロが、カネを借りた側といえども、カネを貸した側と対等な商行為として主張できる、いわゆる裏技を指南したものだ。
際物っぽい表題などから、内容を軽く見勝ちだが、いや、何しろ面白いし、借金取り立て撃退の種々のテクニックは大いに勉強になる。
曰く、「担保の外し方」「借金を数十分の一にする方法」「あなたも債権放棄してもらえる」といった具合に刺激的なタイトルが続く。
「逆資産価値」となっている自宅の借金を減らすための「滌徐（てきじょ）」申請の方法とか、担保物権の競売を避ける為に「無剰余」の手続きをどうするかなど、金融機関と五分に渡り合うための知識として知っておくべきことがらの解説も面白い。
但し、「借りた金は返す」という清いモラルに縛られている人にとっては、素直には読めない内容かもしれないが。
（03年1月発行）