高齢化大好機 堺屋太一 NTT出版
日本が高齢化社会へ向かっていることは避けがたい事実である。現在の人口構成をベストの物という前提に立てば、高齢化社会の到来は恐怖の到来ということにもなるのだろうが果たしてそうだろうか。
1976年に「団塊の世代」を発表し、戦後のベビーブーマー世代が社会そのものを変えていくであろうという予測を行った著者が、再び、このベビーブーマー世代が高齢に達っするこれからの社会は、どのように変わっていくのかを予測した本書は、到来する高齢化社会は、決して恐れるようなものではなく、むしろ良き社会となる可能性を秘めていると説く。
人口構造の変化は、社会の価値観の変化をもたらすだろうし、そのような価値観の変化による人々の経済行動の変化は新しいビジネスチャンスを生むだろう。このような変化を具体的な数字によるシミュレーションで示し、更には具体的に有望なビジネスモデルを示す。
本書はビジネス書ではあるが、実際に高齢化社会の中核（？）になるであろう我々の世代にとって、「決してあなた達はやっかいものではありませんよ」「むしろ、あなた達が中核となる新しい社会が実現するのですよ」と言ってくれているようにも受け取れ、なんだかほっとする人生指南書のようにも思えてくる。
（03年4月発行）