知らない日本語 教養が試される341語 谷沢永一 幻冬舎
一見作りはことわざ辞典、語源辞典のようではあるが、これは、谷沢永一による日本語エッセーとして読んだ方がよいだろう。
確かに、「思案六法」の六はオイチョカブで六を引いたときに悩むことから来ているのだといった類の薀蓄は、それはそれで面白いのだが、その手の薀蓄をあらためていくつも並べたところで、さほど価値があるわけではないから、それぞれの語の解説の後に、棄て台詞のように述べられた谷沢永一コメントが売りということになるのだろう。
そうなると、谷沢永一のファンであるかないかによって本書の価値は随分違って来るだろう。衒いもなく、自らの好みを絶対的に正しいと言い切れるだけの自信に満ち溢れ、教養においても他に比べるものもいないだろうと自負し、それだけに、ユニークな学者（？）の放言ともいえるコメントには、いささか辟易とするところもあるが、それはそれで面白いと思えなくもない。
（03年5月発行）