仕事の哲学 Ｐ・Ｆ・ドラッガー ダイヤモンド
ドラッガーは既に94歳。1950年代から常に時代の先端を行くビジネス論を展開してきた。いまでもその的確な評論は注目を集め、いわばビジネス思想のカリスマ的存在である。
本書は、ドラッガーの著作の中から、「仕事」に関する短いフレーズ、いわばを集めたもので、いわばドラッガー金言集というべきものだ。
個人はいかにして仕事の能力を高めるべきか、そして仕事を通じてどのように成長していくべきか、あるいは時間管理、リーダーシップ、コミュニケーションはいかにあるべきかといった具合に、「仕事」に対する気構え、哲学、を述べたもので、中々有益な示唆に富む金言・警句集となっている。
一ページ3−4行の金言・警句が200余り掲げられている訳だが、ドラッガーの膨大な著作のエッセンス集と考えれば、ドラッガー集ダイジェストとして中々便利な作りである。
一例をあげるならば「強み」の章で次のようなものがあった。
「今さら自分を変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。自分の得意とする仕事のやり方を向上させることに、力を入れるべきである」
これを読んで、さすがドラッガーと感心する人と、な〜んだ、当たり前のことだし、ありがたがる必要もないと感じる人では、本書の価値は全く異なるだろう。
ドラッガー教信者のバイブルあるいは、良きビジネスマンになるためのドラッガー心得帳は、さて、万人向きといえるかどうか。
（03年9月発行）