イギリス発 日本人が知らないニッポン 緑ゆうこ 岩波書店
イギリスと日本は遠い。イギリス人は日本を知らないし、関心もない。それどころか、イギリスの一般大衆が持っている日本のイメージは、日本人が想像もできないようなものであると本書は言う。
又、英国通といわれるほんの一握りの英国人の語る日本と、英国人が一般大衆誌などから得ている情報に基づく日本とは、これまた180度異なっているともいう。
本書では、イギリスの一般庶民が持っている日本のイメージを、新聞雑誌などの記事を例示することによって示して行くのだが、何とも、驚きの連続である。
まず、日本は先の大戦で英国と戦ったことさえ忘れているが、イギリスでは今も、日本という好戦国は、邪悪で残虐であり、英国人捕虜は日本人によっていかに虐待されたかという「日本、悪玉観」が圧倒的に支配的であるという点だ。
それに比べれば、異様なほどの日本人の英国好きは、まさに片思いの最たるものといえるだろう。
その他、英国人の目からみた、なんとも不可解な国、日本の事例が語られる。
たしかに、大の大人が電車の中で堂々と漫画を読んでいるような国は、イギリス人にとっては不可解千万であろうし、ハラキリ、ゲイシャといった日本のイメージは誤解だと言ったところで、アテネでは日の丸ハチマキ姿のおっさんが応援していれば、そういうイメージを持たれるのも止むを得ないということはあるかもしれないが。
（04年8月発行）