ひなちゃんの日常 南ひろこ 産経新聞社
産経新聞に98年から週一回の割合で連載されているマンガ「ひなちゃんの日常」が、連載7年目で漸く単行本一冊分になった。
産経を定期購読している訳ではないので、年に何回か偶然目にする程度ではあったが、この「ひなちゃんの日常」というほのぼのとしたマンガを目にするチャンスにめぐり合えた時には、いつも得をしたような気分にさえなれた。
ひなちゃんは、この単行本の表紙にも書いてあるように、まだ幼稚園にも行っていない、身長だって、猫のタマの倍ぐらいしかない小さな女の子だ。おかっぱ頭で、目がくりくりしていて、やさしい心を持っている。ひなちゃんのお父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、ひなちゃんが大好きだ。
とってもちっちゃい女の子だから、どんな仕草もかわいいし、かわいい勘違いは、大人たちをほんわかした気持ちにさせてくれるーーーーーー。
一回分が大体、6コマから8コマだから、4コママンガよりはちょっと長いけれど、それでいて4コマ的な簡潔さも持っているという、中々絶妙なスタイルだ。
連載もののマンガを書いて単行本が次々とヒットして億万長者になる漫画家が多いという時代に、ひなちゃんの著者は、一週に一本のこんな短いマンガをこつこつ描いていて（単行本一冊分が書溜まるまで6年もかかったというのだから）、職業としてやっていられるのかなーーーと、いらぬ心配までしてしまう。
まあ、そんな、のんびりした作者の雰囲気が、ひなちゃんの性格となっているのだろうと思うのだが。
ひなちゃんを見ていると、なぜかしら娘が二つか、三つだった頃をなつかしく思い出して、実に嬉しい気分になれる。是非、お勧めの一冊である。
（05年3月発行）