火山噴火　　　　　　鎌田浩毅　　　　　岩波新書　　　　　　　　　

日本には108もの活火山がある。地球の45億年の歴史からみれば日本列島に住む人々の歴史のわずか数千年等は微々たる期間に過ぎないけれど、この歴史の中ですら富士山をはじめとする火山の大噴火、大爆発が記録されている。

いや日本ばかりではなく、かつてミノア文明が火山噴火によって滅びたという史実、ポンペイの廃墟などをみても、世界には数限りないほどの火山があり、それらが度々大噴火を起こし、人類ばかりではなく地球上の生命に大きな厄災を及ぼしてきたことが分かる。まさに地球は火山によって作られ、火山によって支配されているとすら言うことが出来るだろう。

しかし、一方例えば富士山をはじめとする日本の美しい景観は、それぞれが火山の恵であり、人々を喜ばせる温泉も、良いワインを作るためのブドウを育てる水はけのよい土も、全て火山が我々に与えてくれる恩恵である。

本書では、火山学の基礎的な知識からはじまり、更に専門的な火山知識を解説してくれるともに、火山噴火予知、あるいはその災害被害からどのように逃れるかといった防災策までを分かり易く解説し、火山による災害ばかりではなく、火山のもたらす恵を取り上げ、日本人、いや人類がいかに火山という大自然と共生していくべきかを教えてくれる。