古代エジプト入門　　　　内田杉彦　　　　　岩波書店　　　　　　　　

古代エジプトの王朝は、古くは紀元前30世紀にはじまり、紀元前1世紀にローマによって滅ばされるまで、計33の王朝が興亡を繰り返した。

この間の王朝興亡史を新書一冊で概観しようというのだから、勢い大まかなくくりになるのは致し方ないけれど、この岩波の少年向け新書はそれでも、少ない紙幅を有効に使い3000年以上にも亘る、世界最古の巨大文明エジプト文明を分かりやすく説いてくれている。

古代王朝最大のピラミッド、クフ王のピラミッドを作るだけの王朝の権力がどのようにして形作られたのか、又、そのような権力が形成される素地は、エジプトのどのような環境であったのかなど、少年たちに古代エジプトへの興味を十分に持たせる書といえる。

勿論、大づかみにエジプト史をもう一度勉強してみようという成人にもお薦めだ。

(07年10月発行)