詐欺とペテンの大百科　　　   　カール・シファキス　　　　　青土社　　　　　　　

浜の真砂と同様に世の中には詐欺、ペテンの類は数限りなくある。本書はそういった詐欺、ペテンの手口や、有名詐欺師など詐欺、ペテンに関する数多くの項目を百科事典形式で羅列したものだ。

まあ敢えていえば本書をこれから働こうとしている詐欺やペテン、あるいは悪戯の手口を考える参考にしようという人もいないとは言えないだろうが、基本的には多くの読者が本書を手にとる理由といえば、有史以来の詐欺、ペテンという犯罪が何故かユーモラスで、可笑しいというところにあるからではないだろうか。

ネットが発達して様々なネット詐欺が現れているが、本書を読めばそういった一見新手と思える手口も、既に過去に行われた詐欺、ペテンの変形であり、何時の世も騙そうとする人間がいて、又騙されてしまう人間がいるということが分かる。

ある意味では詐欺、ペテンは人類ならではの業のようなものとも言えるのではないだろうか。

又、投資コンサルタントなどの類も、ある種詐欺とは境界線が曖昧なものであるのにもかかわらず、騙す側も騙される側も、詐欺だという意識は全くない、などということもあるわけで詐欺、ペテンの類は研究（？）しはじめたらきっとキリがないのではないかと思った。