まことちゃん（5）　　　　　楳図かずお　　　　　　小学館　　　　　

漫画週刊誌「少年サンデー」の全盛期といってよい頃に連載されていたギャグマンガの一つがこの「まことちゃん」だった。

楳図かずおといえばホラーマンガが有名だが、楳図の作品がどうのこうのという前に、どうもホラー物そのものが嫌いなのでほとんど読んだこともないが、楳図の実に広いジャンルの中でギャグマンガは面白いし寧ろこちらの方にこそ彼の本領があるようにも思う。

最近もあの赤白縞の自宅「まことちゃんハウス」の建設では景観訴訟で話題になったように、楳図自身が中々ユニークというか破天荒な人であって、ホラー物の発想もその奇想天外さを活かしているのだろうが、ギャグ物はこれまたハチャメチャな物が多く発想自身がかなり「とんでいる」ように思う。

下ネタ満載、少年雑誌に載せてもよいのかと思うような下品な会話や、B.G（ビチグソ）も脈略なく出て来るわで、汚くて嫌いだという人は多分多いとおもうが、この作品が「少年サンデー」に連載されていたころに、何故か自分はハマってしまった記憶がある。

何度も単行本化されて発行されているが、先日テレビで楳図かずおが出ているのを見て、懐かしくて一冊買って読んでみた。

読んでみて、あらためてこの何ともナンセンスで、めちゃくちゃなギャグマンガに大笑いしてしまった。

主人公まことちゃんは幼稚園児、幼児のようであって、幼児ではないとんでもない子だという設定。贈られてきた立派な椅子が人間のように夜中にB.Gをする、などというもう度を越した掟やぶりのストーリーなど、笑うどころか怒り出す人も多いようなとんでもないマンガだが、不思議なことに、又、完全にはまってしまった。

まあ、懐かしさもこの一冊にとどめておかないと、深間にはまってしまいそうだ。

（99年5月発行）