時間とは何か　　　　　　　池内了　　　　　　　　　　講談社　　　　

「時間とは何か」は物理学においても哲学においても人々を捉えて話さない疑問だ。それは時間というものが、人間の生きている意味だとか、宇宙が何故存在するのか、といった我々にとって根源的な疑問に直結しているからかもしれない。

本書は宇宙物理学の第一人者である著者が、中学生程度の読者向けに時間について述べたものだが、その多くは物理学者だけに時間についての科学的アプローチの歴史、理論といったものが主となっており、哲学的なものは少ない。

ただし、人類がどのようにして時間を計る方法を構築してきたか、化石の年代を計るためにはどのような方法がとられているか、分子時計とは何か、といった様々な時間に関する科学面からの理論をきわめて分かり易く解説してくれている。

アインシュタインの特殊相対性理論、タイムマシンは作成可能か、といった問題にまで言及してくれるから、気楽に寝転がりながらなんとなく時間についての知識を再認識するには好都合な書と言える。