１、２、３、・・・・無限大　　　　ジョージ・ガモフ　　　　白揚社　　　

現在の最先端の宇宙論の基礎的な理論はガモフの業績に負っているところが実に多い。

彼の業績は実に多岐にわたり、ここに羅列するのは大変だが、物理学に限らず、DNAの二十螺旋が発見された直後に4種の塩基が多数のアミノ酸を作る仕組みを理論的に証明したとのもガモフであることを考えれば、彼の生物学における業績も高く評価されるのも当然だろう。

世に天才といわれる人は多いが、「並」の天才は自らの業績を一般の人にも分かり易く説明する能力には往々にして欠けているものだが、この天才中の天才ともいわれる科学者は「ガモフ全集」の多くの著作において、相対性理論を数式を使わず分かり易く解き明かしていることでも有名であり、又、科学全般の難しい理論を一般人にも分かり易く解説してくれる。

本書もそのような一冊であるが、ガモフが超天才であるからこそできる離れ業といってもよいだろう。

本書では、ガモフは数論からはじめ、時間と空間、相対性理論や遺伝子などの実に広い分野を解説してくれている。

一般人には全く理解不能とも思える時間と空間の理論、次元とはなにかについてといった問題が、ガモフの手にかかると実に分かり易い。今まで四苦八苦して読んできた解説書は一体何だったのかとすら思えてくる。本書を読めばガモフの説明こそが「分かり易いxx」などといった類の一般解説書よりもはるかに優れており、分かり易いことに驚くだろう。

まさにガモフが天才たちの中でも更に際立った天才だったからこそのできることなのだろう。

高校時代に学び、やはり根本のところで今も理解できないでいた「虚数」の概念について本書でガモフが説いてくれたことによって、何十年来の虚数に関するもやもやがすっかり晴れたような気がした。それだけでも「読んでよかった！」と思えた。

ただし、凡才である自分にとってはいかに分かり易いとは言え、実は読了するのに休み休みであったこともあるが約6ヶ月を要したことだけは正直に告白しておこう。