蓮池流韓国語入門　　　　　　　蓮池薫　　　　　　文春文庫　　　　　　

北朝鮮の拉致という理不尽な蛮行の被害者として24年間もの幽閉生活を送りながら奇跡的に帰還した著者は、拉致当初は「自分を拉致していった国の言葉などとても勉強する気になれなかった」という。

しかし、その長い拉致生活の中である意味では致し方なく韓国語（朝鮮語）を学び、帰国後は韓国語の小説翻訳家として活躍するほどになった。

その蓮池さんが韓国語の入門書を書いたというのだから早速手にとってみた。

短い期間ではあったがハングルを学び、挫折した経験があることも影響してはいたのだが。

読んでみて、この本に当時出会っておれば、そうそう短い期間で諦めるようなことはなかったかも知れないとも思った。

というのも、本書は入門書というよりも韓国語がどのような体系の言語なのかという点を中心に書かれていることで、どうもあのハングル文字のとっつき難さ、発音の難しさといった事ばかりにとらわれていた韓国語のイメージが随分変って来たからだ。

韓国語が日本語と同じ語の並びをしていること、韓国語には漢字の読みは一字に一つしかないく、これを覚えてしまえば言葉の中で単語の意味が類推できるようになるから韓国語の文章もさほど難しくなくなるといった話などは、これから韓国語を学ぼうとする人にとっては大いに参考になるだろう。

又、ところどころに書かれている自分を拉致した国における24年間の日々の経験が述べられており、今更ながらかの国の極悪非道さを思い知らされ、そこで24年も耐えた著者の苦労が忍ばれる。