俺は、中小企業のおやじ　　　鈴木修　　　日本経済新聞社　　　　　　

スズキの二代目社長の女婿として入社以来50年余り、そのうち30年間は社長、会長としてスズキを引っ張ってきた著者の本人曰く、最初にして最後の著書だという。

サブプライム問題に端を発した経済不況は自動車業界にも未曾有の打撃となって襲い掛かっておりクライスラー、GMなどは倒産に陥っているが、長年、軽自動車、小型車というニッチな市場にターゲットを絞ってきたスズキは、打撃はあるもののまだ比較的その影響は小さいと言える。

それは、この30年、ワンマンといわれながらも強力なリーダーシップでスズキを引っ張ってきた著者の、徹底したコストダウン努力、アルト、ワゴンRなどの人気車種投入への果断な判断力、ハンガリー、インドなどの市場への長年に亘る挑戦などの努力の賜物ともいえるだろう。

売上げ3兆円の企業にまで成長したスズキだが、著者によればスズキは中小企業であるという。中小企業であるからこその生き残り策、トヨタ、ホンダにすら真似のできないスピード経営の内側などが書かれている。

終章で著者も触れているが、良くも悪くも著者のカリスマ経営によって今日の成長にこぎつけたスズキだが、著者も79歳、経営を次世代に上手くバトンタッチできるかが今後の最大の課題になるであろう。