橋本治という考え方　　　　　橋本治　　　　　朝日新聞社　　　　　　

橋本治という作家がかなりユニークな作家であるということはこの作家の一つのセールスポイントでもある。（意図的であるかないかは別にして）

橋本治自身本書で繰り返し「自分のことをあまり小説家だとは思っていない」と述べているように、文壇でもおそらく一匹狼的存在であり余り仲間とつるんだりするタイプでもなさそうだ。

そんな1948年生まれの作家が、これまでの彼の作家生活キャリアーについて、あるいは彼の発想法、小説作法等々を気ままに書き溜めたいわば私的ブログのような一冊である。

彼自身が自分の作家としての脳内を自ら分析しつつそれを読者に向かって披露してしまおうというのだから、橋本治というユニークな作家の思考過程を追認することに興味がある人にとっては面白い一冊だろう。

「この作家を知るのも悪くないだろう」程度の思いで手にとった一冊だが、幾つかの章は非常に興味深く読めたし、全体的にも面白いとは思った。

但し、著者も自分の脳内を調べつつ書いているといった感じの為、必要以上に饒舌、冗長な部分も多く、橋本治に全く興味がないという読者は、最初から本書は敬遠した方がよさそうだ。