夜空からはじまる天文学入門　　　渡部潤一　　　化学同人　　　　　

先日の皆既日食の際にもテレビ中継でメイン解説をしていた著者は、天文学の普及活動を熱心に行っており著書も多数だしておられる。

だれでもが持つ宇宙に関する疑問を噛み砕いて解説することに関して著者は中々の売れっ子ということのようだ。

本書はタイトルの通り、日頃我々があまり見上げることがなくなってしまった星空、星座についての案内から始まり、惑星、彗星、そして流星などの星々の話、太陽系から銀河系宇宙、そして大宇宙に関する初歩的な疑問へと話題をひろげつつ天文学の初歩を分かり易く解説してくれるものだ。

副タイトルが「素朴な疑問で拓く宇宙のとびら」とあるように宇宙論に関する初歩的な知識をカバーするには十分ではあるが、紐理論とかブレーン、あるいはダークマターやダークエネルギーといった最新かつ最先端の宇宙知識に関しては敢えて詳しくはふれていないのでいささか不満に思う天文ファンはいるかもしれない。

重ねて言うが、天文学入門書としてはお薦めの一冊である。