プリンセストヨトミ　　　　　　万城目学　　　　　文芸春秋　　　　　

最近めきめきと人気が出てきている作家だそうだ。

大阪人の持つ東京に対する歴史的な優越感、ある意味では僻みともいえるような複雑な感情をベースにしたこの物語は、多分、大阪人なら喝采を浴びせるかもしれないが、大阪人以外にはどう写るだろうか。

破天荒、あるいは奇想天外とも荒唐無稽ともいえそうな驚きの物語には、大阪の男たちだけで400年間守られてきている「大阪国」なるものが登場してくる。

まあ、ネタバレになってしまうのであまり詳しいことは書けないけれど、適度なユーモアに溢れた大阪人にとっては夢のようなお話、といえばまあほぼ言い尽くしているかもしれない。

正直言って大阪人ではないからという訳だけではなく、ここまで突飛な物語設定となると中々付いていき難い。

会計検査院の超エリート検査官二人プラスちょっとドジな検査官一人の監査チームが、年間5億円の補助金を受け取っているある団体を調査したところ、それは400年間、関西の男たちによって守られてきたある使命を帯びた団体であった――――。

概略、ここまで書くだけでも正直、かなりしんどい気がする。つまらない小説かといえば、そうともいえないぐらいには面白いし。

まあ、読んだ端からストーリーを忘れてしまうマンガ、劇画物程度の面白さはあるといっておくべきだろうとは思う。

よほど暇のある読者ならともかくあまりお勧めの作品とは言えないように思う。