民主党が日本経済を破壊する　　　　与謝野馨　　　　　文芸春秋　　

でたらめ過ぎるとなにかと批判の多かった鳩山首相が在任中だった1月に発行されたのでこういうセンセーショナルなタイトルになったのだと思うが、本書は自民党きっての政策通、財政通といわれた著者による自民党政権時に行った諸政策についての弁明書、あるいは言い訳といった類の書である。

自身が衆議院選の出陣式で意識を失ったという事実や、衆議院解散時、著者は辞表を片手に麻生首相の退陣を迫ったというエピソードなど「今だから言える」といった類も面白い。

小泉内閣の幹部としての自らの主張、小泉、竹中改革への評価、あるいは財務大臣としての政策決定の真の意図といった部分も中々誠意が感じられ、又、当時から既に自民党を離れる意思が強かったからか「上げ潮派」に対するするどい批判なども、ある意味では政権の座を離れたからこそ言えるような忌憚のないものであるだけに、週刊誌的に見ても面白い。

中福祉、中負担を理想とし財政規律を重んじるという立場から消費税上げを避けるべきではないという主張は、本書発行の1月時点では斬新だったと思うが、消費税に関する自民党のアイデアを菅政権が完全にパクってしまった今となっては目新しさはない。

やはりこの手の新書は発行されて直ぐに読まなければ「昨日の新聞」になってしまうのだろうか。

それにしてもなんとかという新党を結成した著者、最近はさっぱりその名を聞かないがどうしておられるのだろうか。