ポニーテール　　　　　重松清　　　　　　新潮社　

小学4年生のフミに小学6年生の姉、マキができた。

フミの母が亡くなってから3年、父がマキの母と再婚したからだ。マキは父の不倫により離婚した母との二人暮らしをしていたが、フミの父と母との結婚により三度目の苗字変更をしている。

難しい年頃のマキはフミに対してぶっきらぼうなところもあるが、フミはこの新しいおねえちゃんにあこがれていて、おねえちゃんと同じようなポニーテールにしたいと思っている―――。

再婚者同士とその娘たちによってできた新しい「家族」の日々を描いたこの小説は、いかにも重松清らしいほのぼの小説といった趣であり、微妙な少女心の描き方も、取り上げられているささいなエピソードも、まさに重松ワールド的な物語である。

但し、いかに恋愛小説が好きだからといって今更、ハーレークイーンの恋愛小説は余りにも宝塚っぼ過ぎて面映いように、いかにほのぼのとした姉妹小説だからといっても、登場人物が全員善良で素直、意地悪さのかけらもなくて−−−、ストーリーもちょっと考えさせるところはあっても結局、全てが「よいお話」にまとまってしまうとなると、なんだか60過ぎのおじさんにとっては面映すぎるところもある。

以前は、重松ワールドはもう少し読ませる多少の深みみたいなものがあったように思うが、最近はあまりに人気作家になってしまい作品を量産しているからだろうか、毒にも薬にもならない作品が多くなってきているような気がしてならない。