一日古代ローマ人　　　　金森誠也監修　　　　　　　PHP文庫　

日本列島では我々の祖先である弥生人が竪穴式住居で暮らしていた頃、古代ローマでは、人々はあのローマの遺跡に残るような建物をつくり巨大な帝国を運営し、現代とある意味では変わらない社会を築き、我々でさえうらやむような日常生活を送っていた。

古代ローマは我々のみならず世界の人々にとって驚きであり、憧れの対象でもある。(勿論、よいところばかりではないことは分かっていても、どうしても2000年以上前の日本と比べて考えてしまいがちだ)

ポンペイの遺跡に驚嘆し、映画「テルマエロマエ」を見てローマ人の生活に憧れる我々にとって、本書は実に興味深い一冊である。

古代ローマ人の生活を衣食住、そして遊（風呂、剣闘士、芸能etc）、法(結婚、離婚、市民権etc)の5つのテーマに亘って81の短い薀蓄で解説してくれる。

ローマ人はどんなものを食べ、飲んでいたか（ワインは海水で割って飲むのがおしゃれだった−−−）、どんなところに住んでいたか（家賃は随分と高かったらしい−−−公共トイレは社交の場でもあったらしい−−−）、ファッションの変遷（いつの時代も、女性の髪形には流行があるものだ）、何歳位で結婚し離婚の頻度はどれぐらいだったか（以外と高かったとか）、いずれも実に興味深く、ますますローマ好きになること請け合いだ。

あまりに、快適な社会であったために、人々はより豊かで快適な生活をもとめて、子供の数を少なくしようとしたという。現代日本と同じように、ローマも少子化問題に頭を痛めていたのだ。

少子化対策として皇帝アウグストゥスは60歳以下の男子、50歳以下の女性に結婚を義務化したという。即ち伴侶との死別、あるいは離婚によって独り身となった場合、直ぐに再婚しなければならなかったというから−−−よかったのかわるかったのか−−−。

ちなみにローマ帝国は、様々な少子化対策を行なったが、どれも上手くいかなかったとか。

民主党もローマ史をもっと勉強しておけば「子供手当」などというムダな政策を掲げたがために失敗する−−などということはなかっただろうに。