人類の進化大図鑑　　　アリス･ロバーツ編集　　　河出書房新社　

この地球上に生命が誕生してから36億年、我々と同じ脊椎を持つ生物が誕生したカンブリア紀からでも5億年が経過している。

しかし我々人類（ホミニン）がチンパンジーの系統と分かれたのはわずか700万年前、現生人類（ホモ・サピエンス）が現れた時期となるとそれは生命史からみればほんの昨日のことといえる20万年前である。

大型版260頁に亘る大図鑑である本書には、生命進化の全過程、そして人類の誕生から現在までを豊富な図版を使って解説している。

多くの化石や遺跡などから辿ってみる人類進化の歴史は、解説の詳細さ、図版の迫力などがあいまって圧巻だ。

本書の特長は、発見された人類化石を元にして復元された人類の祖先たちの顔の復元模型のリアルさだろう。その復元模型の迫力には息を呑む。

ネアンデルタール人の老人(40歳位で亡くなったと推測されている)、あるいは数万年前のホモ・サピエンス女性の顔の復元模型は、いまもこのような人達が、世界のどこかに必ずいるのではないかと思わせるほどのリアルだ。

ホモ・サピエンスが10万年前に、どのような物を食べていたのか、死者の埋葬はいつごろから始まったのか、化粧やアクセサリーはどうしていたのか−−−。

生命の鎖の末端として現在生きている我々全てが、本書にあるあの復元模型のような顔をした古代の人々の子孫であるという事実に、あらためて心打たれた。