大江戸快人怪人録　　　　　田澤拓也　　　　　小学館　　

江戸の歴史の表舞台で活躍した人物という訳ではないものの、稀代の変わり者、異端の人物というのは数多くいて、表舞台の人物よりもよほど興味を引かれるそういった快人、怪人を集めたのが本書。

幕府に睨まれて領国没収になるまで吉原通いを続けた大名、質素倹約を命じる将軍綱吉の質素倹約令に逆らって綱吉の行列を贅の限りを尽くして見物した商家の妻、市中の噂話をかき集めひとネタ96文で売り飛ばしていた新聞屋の元祖ともいえる藤岡屋由蔵等々、ある意味では表舞台の英傑たちよりもよほど風変わりで、後世に名を残した面々を集めた人物録。

新書に多人数を詰め込んだということもあって、そういった人物達をさっと紹介しただけというところもあり、さほど深みのある詳細な記述とはいえないものの、本書をきっかけにしてもう少し、詳しく知りたくなる人物が多数いる。

江戸ブームだそうだから、江戸うんちくのネタ本としてよいかもしれない。