古代日本の超技術　　　　　　志村史夫　　　　　講談社　

97年に発行された本書だが版を重ね、遂に今回は改訂新版として再登場となった。

半導体技術の最前線で活躍してきた著者が古代日本（本書では奈良時代以前と規定している）の驚くべき建築工学技術を分析したもので、1000年を経て尚優美なその姿をとどめている法隆寺の東搭をはじめとする木材建築技術の謎に迫る実に興味深い一冊である。

東京スカイツリーの制震機能にも活用された「倒れない五重塔」の心柱の仕組み、木の自然の性質をそのまま生かし1000年以上の寿命を保つ建築物を実現させた大工道具の数々と匠の技、「必ず錆びる」はずの金属のはずの鉄でつくられながら「錆びない」古代釘の製造技術等々、中にはこれだけ進んだはずの現代の最先端技術でも再現不可能となってしまった超絶技術も多い。

縄文人による牡蠣を養殖技術や、アスファルトを使用した正確な穿孔技術等々、我々の祖先の持っていた技術が、これほど誇るべきものであることを知って、なんとも嬉しくなった。