もう一度読む山川世界史　　「世界の歴史」編纂委員会　　山川出版　

高校の世界史の教科書は山川出版のものであり、世界史の副読本も「山川の世界史総合図録」であった。かれこれ50年ぶりにこの二冊を手にとってみたが、あらためて教科書というのは実によくできていると感嘆した。

なにしろ、数千年に亘る世界の歴史（もちろん、カバーしきれない地域、時代は多いものの）が、通読するだけなら一日で終えられる分量にまとめられているのは、どうしても欠けがちな「いわゆる、世界史の大きな流れに関する知識」の再確認に役に経つ。ここを基点に、興味の湧く時代、地域に関する文献に当たるよい入口、ガイドブックとして、教科書はぴったりだ。

近年、「歴史認識」がよく話題に上るが、歴史認識には「どちらが正しい」とか「どちらが間違っている」ということはない！という説と、評価抜きの歴史は意味がない、という説とがせめぎあっているのは、「歴史」にはつきものだ。その点、本書は教科書だけあってその記述はきわめて「客観的」であり、その解釈が読者（生徒）に委ねられているのがよい。

特に、再び世界史を学ぶ（というよりは、興味をもつ）中高年にとっては絶好の一冊と言ってよいと思う。