超ひも理論とはなにか　　　　　竹内薫　　　　　講談社　　　　

マクロの物理現象を記述する相対論と、ミクロの物理現象を記述する量子力学との相性が必ずしもよくない。

その相対論と量子論を統合した、いわゆる「統一理論」完成に向けての、現代物理学の最先端の研究がおこなわれている訳だが、その統一理論完成の為の第一候補といわれているのがこの「超ひも理論」である。

超ひも理論のアイデアは1950年代にはあったが、本格的に研究されはじめたのは90年代に入ってからであり、もちろんその一般解説書が出始めたのも2000年に入ってからといったところだったと思うが、本書はそんな中でも早い時期に解説書として発行されたもので、テレビなどでも活躍しいるサイエンスライターの著者は、この最新の理論を数式を使わず分かり易く説いてくれている。

もっとも、ひも理論が要求する次元が11次元と、我々の日常世界の4次元時空からは余りに理解し難い概念を必要とするだけに、いかに「分かり易く」とはいえ自ずから限界はあることは確かで（読む側の責任ではあるが）、さらに他の解説書を読む必要は大いに感じたところではある。