悪韓論　　　　　　　室谷克実　　　　　新潮社　　　　　

最近隣国韓国から浴びせられる日本批判というか日本非難は、どうも単なる悪口雑言の類でしかないようにさえ思えるものばかりだ。

しかし、長年、この種の日本批判に対してあえて反論しない、あるいは「ほっておく」という姿勢をとり続けてきた日本だが、そういった日本側の姿勢が、アメリカでの慰安婦像設置などといった、世界規模での韓国による日本非難（しかも根拠のない、捏造による）を助長しているのではないかという反省が芽生え始めたのは事実だ。

本書のタイトル「悪韓論」を見ると、韓国からの悪口に、日本も悪口で口答えしているのか、といった印象をもってしまうかもしれないが、読んでみて、至極真っ当な韓国論であることに少々驚いた。

長年の韓国駐在経験もある記者出身の著者が、全て韓国の主要紙などにのった韓国側の資料に基づき、巷間「韓流ブーム」に乗って喧伝される「素晴らしい国、韓国」がいかに上っ面だけのものであり、その実体はウソとでっち上げに基づいたものなのかを語っていく。

世界一の教育大国という彼等の宣伝にしても、実は現代の両班ともいえる財閥系大企業サラリーマン以外は皆奴隷、という強烈な身分意識がもたらした弊害でしかなく、又、例えばサムスンは毎年2万人を採用し、2万人が止めていくというブラック企業ともいえる組織である、といった実態を語っていく。

「韓国人は息を吐くように嘘をつく」、「嘘吐き政治家と、嘘を吐く国民」と題した社説を載せたのはいずれも韓国の主要紙である。「韓国の偽証罪で起訴された人は日本の66倍、日本の人口が韓国より2.5倍多いことを勘案すれば165倍に達するし、詐欺事件は日本の13.6倍だ」というのも韓国紙の記事である。

どうも「韓流オバサン」が賞賛する韓国とその実体は随分違うようだし、そういう視点から韓国発の日本非難、悪口を見て見ると、「なにしろ、まず謝っておこう」という今までの日本の姿勢に対する猛反省もうまれてくるのではないだろうか。