波紋と螺旋とフィボナッチ　　　　近藤滋　　　　　　秀潤社

シマウマの縞模様、魚の模様、植物の葉脈や花の形、といった生態形成には、実は数学的な原理が潜んでいた−−−。

著者は魚のウロコが出来る原理を発見した最先端の生物学者だが、タイトルに掲げられている波紋、螺旋、フィボナッチ数列といった数学が、我々も含めた生物の発生に深く係わっていること、一見、高等で難解な数学理論と思える波紋、螺旋、フィボナッチ数列が実は極めてシンプルな原理に基づいていることを教えてくれる数学解説者としても極めて優れた教育者であるともいえると思う。

魚の模様、カメの甲羅、貝、シマウマ、指紋などがなぜそのような形になるのか、といった疑問を掲げ、それを平易な言葉と図で解き明かしていく本文部分も面白いが、間に挟まれる長文のコラムが又、極めて面白い。（中でもジンクピリジオン効果に関するコラムは秀逸）

生物学と数学の融合という新しい分野の書き手として更に多くの著作を期待したい。