｢健康食｣のウソ　　　　　幕内秀夫　　　　　PHP　　

ちまたに溢れる「xxを食べるとがんにならない」「xxダイエットでやせられる」といった類の健康食品情報----大手の製薬会社、食品会社は軒並み、この手の「xxを食べると（飲むと）健康になる」の大宣伝によって、何千億円の大儲けをしているが、そのほとんどが根拠のない、いわば「詐欺話」だ！というのが著者の主張。

確かに、ヨーグルトを食べたからといって「腸内のビフィブス菌は増えない」ということは、もう何年も前から科学的に証明されているというのに、ヨーグルト信仰は、続いている。（便秘が解消した人がいたとしても、それはヨーグルトの食べすぎによる下痢の所為かもしれないというのに）

花王のエコナのような騒動（健康に良い！と国までもがグルになって宣伝していたものが、後に体に悪いことが分かり、花王はエコナのトクホ指定を返上、製品を回収した―――（厚労省の役人はなんの責任もとらなかったが）といった事件まであったことも、この健康食信仰の危うさを示しているというのに―――。

巷に溢れるこの手の「健康食のウソ」をバッサバッサと切っていく著者は、この手の健康食詐欺グループの一員でもある「似非科学者」「業界と癒着した医師たちや、役人」にとっては目障りな存在であろう。

もっとも返す刀で著者が推奨する「健康食」が、「昔の日本人がやっていた当たり前の健康的な食生活、粗食」という辺りにも、著者が批判するあやしげな「健康食」と同じ疑わしさがないではない。

昔の日本人の死亡原因に、がんや動脈硬化が少なかったのは、粗食故に平均寿命が短かった所為で、老齢になってから発症率が上がるがんや脳梗塞になる前に死んでしまっていった可能性があるような気もするし―――。

あれこれの健康話にふりまわされず、「適度に」体が欲する食べたいものを食べ、飲み、適度の運動とできるだけストレスの少ない生活にこころがけることこそが、「健康の秘訣」だというシンプルな結論だけにした方が良かったような気がするが−−−。