日本が戦ってくれて感謝しています 井上和彦 産経新聞
日本の無条件降伏とそれに続く東京裁判をはじめとする一連の戦犯裁判によって、日本が先の戦争に於いて、あるいは敗戦に至るまでの数十年間に行ってきたあらゆることが、「平和に対する罪、人道に対する罪」であったと断罪され、その全面的な断罪を、丸々受け入れてきたのが、戦後の日本であったといっても過言ではない。
「日本が行ったことは、悪いことばかり」「まだ謝り足りない！」と言われ続けてきたが、そういう非難に対して一切の反論をしないことが「敗者の美徳」だとする日本の美意識が既に敗戦から70年経とうとしている今、戦争を知らない人々が人口の大半を占める日本のみならず世界における、日本および日本人に大きな悪影響を及ぼしていることは、国内の混乱や批判を国外に敵をつくることで反らそうとする中国や韓国の、いわれのない侮日、反日となって表れている。
従軍慰安婦を「日本軍による性奴隷」と言い換えて、あらぬ日本非難を世界中でばら撒く韓国に対して、ようやく日本政府は、「河野談話の検証」という形で、河野談話がいかに歴史的事実に反するものであったかを明らかにするという第一歩を踏み出すことで反撃を始めようとしている。
こういった政府を挙げての正しい歴史的事実の検証は、日本という国そして現代にいきる我々日本人の真の姿を世界中に知ってもらうために絶対に必要だし、それよりもなによりも、我々日本人自身にとって、我々の父祖に対する敬意を示し、胸を張って世界に対する為にもやらなければならないことだといえる。
本書は、いままで、「日本の悪行」と断罪されつづけてきた日本軍の行動の多くが、当時、白人世界に支配され搾取、抑圧されつづけていたアジアにおいて、多くの国々と民族を解放するための義挙であり、当時の日本軍の行動に対して賞賛と感謝をおしまない国々と人々がいるということを、著者が各地を実際に歩き、取材したものであり、日教組などのいまも自虐史観を主張しつづけ日本を貶めようとする勢力によるゆがんだ教育を受けてきた世代にとっては、驚天動地の一冊といってよいだろう。
インド、インドネシア、フィリッピンやビルマ（ミャンマー）等々においては西欧列強の植民地として収奪が繰り返されていたが、それらの抑圧からの解放を手助けしたのが日本軍であり、それらの一連の行為が、勝者による一方的な復讐裁判によって有罪になったことをインドやインドネシアの人々は、むしろ残念に思っていてくれることを、我々は50年後、100年後の我々の子孫に伝えていくべきだ。
東京大空襲で、そして広島、長崎の原爆で無辜の市民を多く虐殺されながらも「日本が悪かったからだ」と泣き寝入りさせられ、やってもいない「性奴隷」の汚名をきせられても、「検証でさえすべきではない」といっている日教組や朝日新聞等の、おもうがままに育ってしまった自虐史観を打ち砕くための本書などの試みは、今後は、ますます増えていくことだろう。
過ちを正すにはばかることなかれ、である。
（13年10月発行）