昆虫はすごい 丸山宗利 光文社新書
人類の誕生は500万年前といわれるが、名前がついているものだけでも100万種、全体では1000万種はいるのではないかといわれる昆虫が誕生したのは4億年前である。
4億年という途方もない時間、生き残りの為に様々な進化を遂げ遂には1000万種以上にも増えた昆虫の生き残りの為の作戦は、たかだか数百万年の進化史しかもたない人類にくらべれば「すごい！」の一語に尽きることは当然といえば当然だろう。
昆虫に限らず生物にとって摂食し、敵から身を守り、自らの遺伝子を残すために様々な方法を駆使することこそその「生」の目的である。
その為に繰り出される様々な作戦、例えば天敵から身を守るための擬態一つをとっても、いかに時間をかけた自然選択の結果であるとは頭で理解しても、尚、あまりの不思議さに絶対者の存在といったことさえ思い浮かぶほどである。
虫好きの少年がそのまま昆虫学者になったような著者が、次々に繰り出す昆虫の「すごさ」は、まさに驚天動地といってよいものばかりだ。又、個々の昆虫の能力単独ではなく、多種の昆虫同士が一つの共同体的な生物集団として相互に協力しあう、複雑な共生関係を作っている例なども詳しく述べられており楽しい。
男の子なら一時は通過したであろうあの昆虫少年時代を思い出させる楽しい一冊でもある。
（14年8月発行）